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パーキンソン病はこわくない

若年性パーキンソン病に罹患した筆者が綴る悲喜交々

パーキンソン病の治療に用いるDBS装置を発売 

【MONOist 2017.9.5掲載】

ボストン・サイエンティフィック ジャパンは、パーキンソン病の治療に用いるDBS装置「Vercise PC」と「Vercise Cartesia ディレクショナルリード」を発売した。多指向性刺激を実現するディレクショナルリードを搭載している。

 ボストン・サイエンティフィック ジャパンは2017年7月29日、パーキンソン病の治療に用いる植え込み型脳深部刺激(DBS)装置「Vercise PC」と「Vercise Cartesia ディレクショナルリード」を発売した。水平、垂直の両方向から刺激する多指向性刺激を可能にしたディレクショナルリードと、同社独自の刺激技術「MICCテクノロジー」を搭載している。

 DBSは、進行期パーキンソン病の症状を軽減するために行われる外科的治療。電気パルスを発生させる植え込み型パルス発生装置とパルスを脳に伝えるリードで構成され、電気信号を用いて脳の特定部位を刺激する。

 新たに発売されたVercise PCとVercise Cartesia ディレクショナルリードは、16個の独立した電流供給源を持ち、複数の独立した電源から電流を供給する。各電極の電流量をコントロール可能で、指向性を持つディレクショナルリードシステムと組み合わせることで、適切な箇所を適切な強さで刺激できる。

 不要な部分への刺激を回避できるため、刺激による副作用の併発を避け、症状に応じて刺激を調節できる。電源には、非充電式電池を採用した。

<http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1709/05/news013.html>

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ATPレベルを調整することでパーキンソン病の症状が緩和 - 京大 

【マイナビニュース 2017.9.4掲載】

京都大学(京大)は8月31日、ATPのレベルを維持することによって、パーキンソン病のような神経変性疾患で影響される脳細胞を細胞死から保護することができると考え、ATP消費を制限する化合物と、ATP生成を増加する化合物の2種類を開発したと発表した。

同成果は、京都大学大学院生命科学研究科 垣塚彰教授らの研究グループによるもので、7月24日付けの国際科学誌「EBioMedicine」に掲載された。

脳や中枢神経系のATPの減少は神経細胞死をもたらし、虚血性または神経変性疾患を引き起こすことが知られている。たとえばパーキンソン病(PD)は、黒質のドーパミン作動性ニューロンの細胞死によって引き起こされるが、原因はミトコンドリアの機能不全とATP減少だと考えられている。

加えて、PDの患者にはドーパミン作動性ニューロンにα-シヌクレインのタンパク質凝集体であるレビー小体の存在がみられることから、α-シヌクレイン凝集体の産生とATPの減少に何らかの関係があるとも考えられていた。

同研究グループは今回、まず、細胞内のATP消費を減らすことができるKUS(Kyoto University Substances)剤を開発した。KUS剤は、これまでの研究で、網膜色素変性、緑内障、虚血性網膜疾患での網膜神経の細胞死を防止できることが確認されていたものである。

また、同研究グループは、およそ10万の化学物質をスクリーニングした結果、クマリン由来の天然化合物であるエスクレチンが、脂肪の燃焼やミトコンドリアの産生に関わる因子であるERR(エストロゲン受容体関連受容体)のアゴニストとして機能し、ATP産生を増やし細胞内のATPレベルを上昇させることも発見した。

さらに、2種類のPDマウスモデルを使い、生体内でもKUS剤とエスクレチンがPDでの神経細胞死に対して保護効果を持つことを確認。治療を受けたPDマウスモデルの神経細胞は、α-シヌクレインと、アポトーシスを誘導する転写因子であるCHOPの発現レベルが修正され、ATPレベルも平常に戻ったという。

同研究グループは今回の成果について、ATPレベルを調整することでPDのような治癒不可能な神経変性疾患を治療できる可能性があることを示すものであるとしており、今後ほかの神経変性疾患の治療への活用も期待できると説明している。

<http://news.mynavi.jp/news/2017/09/04/234/>

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進む新しいパーキンソン病治療可能性 

【西川伸一 NPO法人オール・アバウト・サイエンス・ジャパン代表理事 2017.9.3ヤフーニュース掲載】

先週はパーキンソン病の治療法として期待できる論文がNatureとScienceに掲載されたので紹介することにした。

高橋淳さんの細胞治療論文
先週8月31日、まず京大の高橋淳さんのグループから、ヒトiPSを用いてサルのパーキンソン病モデルを治療する前臨床試験(臨床に入る前の動物実験)を集大成した論文が8月31日号のNatureに発表され、我が国のマスメディアでも大きく取り上げられていた(Kikuchi et al, Nature, 548:592, 2017)。

内容はメディアで紹介されている通りで繰り返さないが、一つだけ強調したいことがある。高橋さんはパーキンソン患者さんに多能性幹細胞由来のドーパミン細胞を移植するためには、1)異常増殖の起こらない細胞の調整の仕方、2)万が一細胞が増殖しても治療が可能であることを示すことが、細胞移植の効果を示すのと同じだけ重要であると考え、研究に時間と金のかかるサルにこだわって長年研究を続けてきた人だ。実際、10万個程度の細胞で治療が可能な黄斑変性症と比べると、少なくとも500万~1000万個の細胞が必要なパーキンソン病は、安全性のハードルが高い。様々な批判を乗り越えてこれを解決した高橋さんの臨床家魂に敬意を表したい。

いよいよ臨床試験で、次は患者さんの望みを実現して臨床のトップジャーナルに論文が掲載されるのを心待ちにしている。

パーキンソン病の発症を遅らせる治療薬
細胞治療は失われてしまったドーパミン産生細胞を外から補う治療法だが、徐々にドーパミン細胞が失われるパーキンソン病では、細胞が失われる速度を抑制することも重要な治療の方向性になる。高橋さんの論文に続いて9月1日、パーキンソン病進行に関わるシヌクレインの産生を喘息治療に使われるβ2アドレナリン受容体刺激剤が抑制し、これによりパーキンソン病の発症を遅らせる可能性を示す画期的な論文がScienceに発表された(Mittal et al, β2-adrenoreceptor is a regulator of the α-synuclein gene driving risk of Parkinson’s disease(β2アドレナリン受容体はパーキンソン病のリスクを高めるαシヌクレイン遺伝子の調節因子だ), Science , 357:891, 2017)。

この研究では、神経細胞株を用いて、パーキンソン病の進行を促進するαシヌクレインの発現を抑えることのできる化合物の大規模なスクリーニングを行い、30種類近くの化合物を発見している。今後それぞれの化合物を検討する段階に入るが、見つかった化合物のうち3つがβ2アドレナリン受容体の刺激剤であることに着目し、β2アドレナリン受容体刺激剤に絞って研究を進めている。

というのも、β2アドレナリン受容体刺激剤は喘息の治療薬としてFDAに認可されている数々の薬剤が開発されており、うまくいけばすぐに治験に入れる。

この研究では喘息などの気管支拡張薬として最もよく使われるサルブタモールを使って細胞株を刺激する実験から、サルブタモールがβ2アドレナリン受容体を刺激するとシヌクレインの合成が抑制されることを確認している。

続いてマウスへの投与実験を行い、パーキンソン病で失われるドーパミン細胞のシヌクレン合成が、サルブタモール投与で3割程度低下することを明らかにしている。

次は人間でサルブタモールがパーキンソン病を抑制することができるかを調べる必要があるが、著者らはこの目的のために、国民一人ひとりに投与された薬物が克明に記録されているノルウェーのデータベースを用いることを思いついた。

このデータベースからサルブタモールを使用した人と、使用経験が全くないを分けて抽出し、パーキンソン病の発症比率を調べると、驚くなかれ、使用した場合はパーキンソン病発症が3-4割低下することがわかった。

では逆にβ2アドレナリン受容体を抑制すると何が起こるのか?臨床では、β2アドレナリン受容体刺激剤だけでなく、β2アドレナリン受容体を抑制する薬剤も、血管を拡張させる目的で使われている。この代表格プロプラノールを使用している患者さんと、使用していない人を分けてパーキンソン病の発症率を比べ、プロプラノールを使っている人では、なんとパーキンソン病の発症率が2倍に上がっていることを突き止めている。

最後に、パーキンソン病の患者さんからiPSを作成し、患者さんの iPS由来ドーパミン神経のシヌクレインの発現が、サルブタモールで強く抑制できることを確認している。

以上の結果は、サルブタモールがパーキンソン病を発症した患者さんでも、その進行を抑制できる可能性を示している。

これまで私が見てきたパーキンソン病の進行を遅らせる薬剤の研究の中では、実現可能性という点では画期的だという印象を持つ。だからといって、すぐに現在進行中のパーキンソン病の患者さんにサルブタモールを投与するのは、心臓や血管への影響を考えると危険だ。

できるだけ早くこれまでの喘息患者さんへの投与プロトコルと副作用を分析し、パーキンソン病の患者さんへの最も合理的プロトコルを作成して、発症後の患者さんについて治験を行って欲しいと思う。

私が論文を読んできた中で、これまでパーキンソン病の治療として最も早く立ち上がっているのは、臨床治験が進む遺伝子治療だが、高橋さんの治験も、サルブタモールの治験もそう遠い話ではないと私は期待している。

<https://news.yahoo.co.jp/byline/nishikawashinichi/20170903-00075316/>

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