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パーキンソン病はこわくない

若年性パーキンソン病に罹患した筆者が綴る悲喜交々

【長尾医師の平成人間臨終図鑑】永六輔さんの“大往生”に見る肺炎と老衰のあいだ 

〈zakzak掲載 2013.10.13〉

日本のテレビ界でのパイオニアでもあり、『大往生』というベストセラーも出された永六輔さんが今年の七夕の日に亡くなられました。

 83歳でした。長年パーキンソン病を患っており、リハビリを続けながら仕事をしていましたが、今年1月に圧迫骨折で入院、手術。その後、自宅療養をしていましたが誤嚥性肺炎などを起こし、体力が次第に衰えていきました。死因はパーキンソン病ではなく、肺炎となっています。担当医は「死因は肺炎だが、老衰と言ってもいい」とコメントしています。

 肺炎は日本人の死因の第三位で、全死者の約10パーセント弱を占めています。しかし、永六輔さんのようにほかの病気を患っていても、あるいは、がんや心筋梗塞であっても死因を「肺炎」とするケースが多いように思います。

 新聞の片隅には、毎日のように著名人の死亡記事が載りますが、生前に伝えられていた病名と、記事として報道されている死因が違っていて、おや? と首を傾げたことが皆さんにもあるのではないでしょうか。これはなぜでしょう?

 そういえば、永六輔さんの後を追うようにして亡くなった、大橋巨泉さんは咽頭がんと闘っていましたが、死因は、「急性呼吸不全」と書かれていました。

 お二人はもしかしたら、パーキンソン病やがんという病名を残したくないとう意図もあったのでしょうか。

つまり死因とは、医学的なものであると同時に社会的なものでもあります。

 医師が書く死亡診断書には死因を書く欄があります。死因とは、死亡の原因のことで、原死因とも言われます。原死因とは世界保健機構(WHO)によれば「直接死亡を引き起こした一連の事象、起因した疾病・損傷」と定義されています。つまり末期がんの人が最終的に肺炎を起こしても原死因は、「がん」と記載されることになっています。人口動態調査や死亡統計は死亡診断書に書かれた病名から作成されています。

 では、死亡診断書に書かれる原死因は医師によって見立てが変わることがあるのでしょうか? あくまで私見ではありますが、「変わる」と思います。その理由として3つ挙げてみましょう。

 まずは医師による見解の違いです。末期がんに併発した肺炎を治せればもう少し生きられたと考える医師は、がんではなく肺炎を原死因と考える場合があり得ます。

 次に、社会的影響を考える場合です。たとえばがんという病名を公表されて欲しくないと家族から要望される場合があります。理由はいろいろですが、がん家系や遺伝性のがんの場合、それは遺族にとっては世間にあまり知られたくない個人情報であるという考え方もあります。最近の新聞の死亡欄には病名が一昔ほど詳細には書いてありません。

 3番目には在宅看取りの場合は、肺炎と書くか、老衰と書くべきか迷う場合がよくあります。「肺炎」と書くと遠くの家族から「なんだ、肺炎も治せなかったか、入院すれば治せたのではないか」と言われ後味が悪くなることを懸念する場合があります。その場合は多少の「肺炎」があっても「老衰」と書く場合もあります。私は家族とよく相談してから書くようにしています。

なかには「老衰」としか言えないケースがあります。しかし最後の1日だけ熱が出て少しゼコゼコしたという場合もあり軽い肺炎を併発したこともあります。そんなことは決して稀ではなく純粋な老衰はあまり多くない、という意見もあります。また若い医師は純粋な老衰であっても「老衰」とは書きたがらない傾向があります。病院の上司から「老衰なんて病名はない」と指導されたという声も聞きました。

 一方、20年以上町医者をしている私は喜んで(?)「老衰」と書いています。家族にも「良かったですね、生き切りました。大往生、平穏死です。素晴らしいことです」と説明しています。つまり病院と在宅では「老衰」に対する認識にかなりのズレがあると思います。

 ただ私でも、まだ平均年齢に達していない人に「老衰」を書くときには迷うので家族とよく相談します。家族も「老衰」という言葉を嫌がる家族と、反対に喜ぶ家族がいます。「大往生」や「平穏死」という言葉で在宅療養を支えてこられた家族ねぎらうには「老衰」のほうが相応しい場合が多いと思います。

■長尾和宏(ながお・かずひろ) 長尾クリニック院長。1958年香川県出身。1984年に東京医科大学卒業、大阪大学第二内科入局。阪神大震災をきっかけに、兵庫県尼崎市で長尾クリニック開業。現在クリニックでは計7人の医師が365日24時間態勢で外来診療と在宅医療に取り組んでいる。趣味はゴルフと音楽。著書は「長尾先生、「近藤誠理論」のどこが間違っているのですか?」(ブックマン社)、「『平穏死』10の条件」(同)、「抗がん剤10の『やめどき』」(同)。

http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20161013/enn1610131130004-n1.htm

category: 【報道・記事】

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