パーキンソン病患者では高度の腰曲がり、頸下がり、体幹側屈(ピサ症候群)などの姿勢異常がしばしば認められる。原因として中枢と末梢の多因子の異常、すなわち大脳基底核や知覚運動統合の異常、体のスキーム知覚や姿勢コントロールに関する認知機能の異常、筋骨格系の変化などが関与していると考えられており、具体的にはジストニア、固縮、固有知覚異常、空間認知能の異常、傍脊柱筋の炎症、脊椎や脂肪組織の変化などが原因として指摘されている[1,2]。また、ドパミンアゴニスト、抗コリン剤、アマンタジンは姿勢異常の原因となる可能性があるとされている。こうした姿勢異常は痛みや転倒リスクを増大させ、QOLを悪化させる要因となる。... 続きを読む
月: 2021年11月
脊髄刺激療法は、硬膜外脊髄刺激電極と刺激装置を体内に埋め込む侵襲的な外科的治療であるが、パーキンソン病に付随する痛みに対して高い効果が認められ、本邦でも保険適応となっている[1, 2]。近年は、痛みの軽減による間接的な運動症状改善効果以外に、より直接的な運動症状改善効果が報告され始めている。パーキンソン病モデルのサル上位胸椎レベルへの脊髄刺激療法はすくみ足、寡動、姿勢反射障害を改善しただけでなく、これら症状と関連したパーキンソン病に特徴的な皮質―基底核回路内のβバンド周波数帯域の強度を減少させた[3]。この結果は脊髄刺激が上行性に脳内へ伝播し、脳内ネットワークを修正し、パーキンソン症状改善を引き起こしている可能性を示唆している。... 続きを読む
パーキンソン病は薬剤の効果が認められる疾患であるが、進行性の変性疾患であり、症状の変動に対しての薬剤反応性には限界がある。それを補うために、深部脳刺激術や薬剤経腸投与などが行われている。一方で、非薬物療法の一つとして、様々なリハビリテーションが試みられている。パーキンソン病に対するエクササイズを用いたリハビリテーションの有効性が示されている臨床試験が散見され、中でもサイクリングやトレッドミルを用いた有酸素運動が運動症状の改善に有効であると報告されている[1-4]。... 続きを読む