パーキンソン病は薬剤の効果が認められる疾患であるが、進行性の変性疾患であり、症状の変動に対しての薬剤反応性には限界がある。それを補うために、深部脳刺激術や薬剤経腸投与などが行われている。一方で、非薬物療法の一つとして、様々なリハビリテーションが試みられている。パーキンソン病に対するエクササイズを用いたリハビリテーションの有効性が示されている臨床試験が散見され、中でもサイクリングやトレッドミルを用いた有酸素運動が運動症状の改善に有効であると報告されている[1-4]。

しかし、このようなリハビリテーションを家庭で行う場合、安全面や長期継続できるかどうかが問題となる。そこで、近年行われたストレッチ運動と有酸素運動を比較した臨床試験では、リハビリテーション施行時間や心拍数などの身体情報がアプリケーションで管理され、コーチがウェブサイト上で追跡できるようなシステムが用いられた。結果として安全にエクササイズが施行可能であり、それにより、Off時の運動機能の改善が認められた[5]。

しかし、これらの臨床試験は比較的軽度な障害を持つ患者を対象としており、歩行障害などの運動症状が重度である場合には困難であり、今後の課題である。また、近年では仮想現実(Virtual reality: VR)を利用したリハビリテーションも行われるようになってきている。VRを用いたリハビリテーションでは歩行やバランス機能などに対して一定の効果を認める報告も見られるようになってきているが[6]、今後のさらなる研究が必要な分野である。

リハビリテーションは患者のモチベーションを保ち、長期的に行える環境を提供することが重要であり、そのツールとして、スマートフォンなどのアプリケーションやVRを用いることが有用かもしれない[7]。

[1] Xu Q, et al. Physical activities and future risk of Parkinson disease.  Neurology. 75(4):341-348, 2010. doi: 10.1212/WNL.0b013e3181ea1597

[2] Ahlskog JE. Does vigorous exercise have a neuroprotective effect in Parkinson          disease?  Neurology. 77(3):288-294, 2011. doi: 10.1212/WNL.0b013e318225ab66

[3] Uc EY, et al. Phase I/II randomized trial of aerobic exercise in Parkinson disease in a community setting.  Neurology. 83(5):413-425, 2014. doi: 10.1212/WNL.0000000000000644

[4] Ridgel AL, et al. Dynamic high-cadence cycling improves motor symptoms in Parkinson’s disease. Front Neurol 6:194, 2015. doi: 10.3389/fneur.2015.00194

[5] van der Kolk NM, et al. Effectiveness of home-based and remotely supervised aerobic exercise in Parkinson’s disease: a double-blind, randomised controlled trial. Lancet Neurol 18(11):998-1008, 2019. doi: 10.1016/S1474-4422(19)30285-6.

[6] Lei C, et al. Effect of virtual reality rehabilitation training on gait and balance in patients with Parkinson’s disease: A systematic review. PLoS One.14(11):e0224819, 2019. doi: 10.1371/journal.pone.0224819.

[7] Ellis TD, et al. Digital Therapeutics in Parkinson’s Disease: Practical Applications and Future Potential. J Parkinsons Dis 11(s1):S95-S101, 2021. doi: 10.3233/JPD-202407.