病態生理学的研究は、臨床データと神経生理学的データとの相関関係を元に、根底にある病態のメカニズムを明らかにすることを目的としている。パーキンソン病に関連する研究においては、脳深部刺激療法(DBS)の作用機序の調査がその一例である。具体的にはパーキンソン病における大脳基底核の運動および非運動機能データと、局所場電位(LFP: local field potential)として知られる深部脳波信号を記録/分析することで、DBSの作用機序に関する洞察を得た研究がある[1]。このような研究においては、生体信号等の研究データを安全な環境で収集/共有することが重要である。... 続きを読む
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COVID-19による長期的な後遺症は現状不明であるが、約半年の追跡からの報告によると、倦怠感や筋力低下が6割ほど、睡眠障害が3割ほどの罹患患者で認められるようである。また不安やうつを感じることも23%と比較的多いことが分かってきた [1]。... 続きを読む
現在の主流なパーキンソン病治療に、内科的な薬物療法やリハビリテーション、外科的には脳内電極を埋め込む脳深部刺激療法がある。これらの治療の進歩により、パーキンソン症状を長期間ある程度コントロールすることが可能となっている。しかし、どの方法も残存神経細胞の働きを制御するアプローチであり、黒質のドパミン神経細胞の減少を止めることで病気の進行を止めるなど、病気を根本的に治すことはできない。完全な根本治療は未だ困難であるが、これに類似のアプローチとして、1980年代から胎児由来のドパミン神経細胞の脳線条体への移植による治療研究が行われてきた[1-3]。 すべての患者に対して効果があるわけではないが、適応を選べば効果が持続することが確認されている。しかし、胎児由来の細胞を扱うという倫理的な問題や、1人の患者に対して複数の胎児ドナーが必要という量的な問題などがあり、標準治療としては難点が山積していた。さらに、移植した後のドパミン生産過剰によるジスキネジアも報告された[4]。... 続きを読む
リアルワールドデータとは医療ビッグデータを指し、臨床現場で得られる診療行為に基づく情報を集めたものである。これは、疾患理解の促進や医療の質の向上を含め、患者の状況を改善するために有益な情報となる。現在、パーキンソン病患者においてもリアルワールドデータを収集する試みがなされており、リモートモニタリングでのデータ収集方法としてスマートフォンを用いた方法が注目されている。... 続きを読む